パリで出会ったのが、帽子や指輪、バッグとかをいろんなデザイナーから集めているフランソワーズという女性のバイヤー。当時、アクセサリーの価値は、金の重さや宝石の大きさで決まっていたのですが、彼女が集めてくる指輪は、針金でぐるぐる巻いたようなもの。でも、そこにはクリエーション(創造性)という価値があるんですね。バッグっていうのは、物をいれるものだと思うけど、そうじゃない。おしゃれという、全体を作るための部品なんだと。そういう物の見方を彼女が全部教えてくれました。
で、東京に持って帰るんですけど、在庫の山になる(笑)。経理担当者に「2000万円やるから、これを使い切ったら終わりにしてくれ」と言われて、また会社を作った。HPに、フランスを付けて、「アッシュ・ペー・フランス」。
僕はもともとファッションを分かっていて、ファッションの仕事をしたのではなかった。出版社では今でいうカルチャー誌をやっていたんですが、オルタナティブ(現在あるもののかわりに選びうる新しい選択肢)という考え方がテーマだった。オルタナティブの原型っていうと、ヒッピー。ヒッピーっていうといろんな説明の仕方があるので難しいんですけど、僕は「新しい考え方、生き方」だと思う。つまり、テーマでいえば、出版社と30過ぎてから始めたファッションの仕事はつながっているんです。