その昔、源頼朝があまりの夏の暑さにたまりかね、この山に白い衣を張らせて雪山に見立てて、涼をとった。それが山の名前の由来となったという言い伝えがある。権力者はむちゃくちゃするなあと一瞬、納得しかけたが、鎌倉市教育委員会発行の「かまくら子ども風土記」には「頼朝の権力が強かったことを後の人が想像し、こんな話が残ったのでしょう」と書かれている。つまり後世の作り話。
まあ、そうでしょうね。衣張山の頂上には、かつて大倉幕府があったあたりからだと、歩いて30分か40分で上がることができる。意外に近い。それなのに、途中からは平成巡礼道と呼ばれるかなり険しい山道になる。
さすがに巡礼道、少し寒いぐらいのお天気でも汗が噴き出し、どこか修験者になった気分である。(文:編集委員 宮田一雄/撮影:写真報道局 渡辺照明/SANKEI EXPRESS)