「振り込め」などの特殊詐欺の被害が止まらずハイペースで拡大している。さまざまな手口が横行し、今年は全国で過去最悪を記録した昨年の約364億円を上回り、400億円を超える見通しとなったことが11月19日、捜査関係者への取材で分かった。「捜査は現状では手詰まり状態」(警察庁幹部)といい、打開策として捜査現場からは犯行グループの解明のため現行法では認められていない詐欺事件での通信傍受を求める声も高まっている。
「暴力団よりやっかい」
警察庁の米田壮(よねだ・つよし)長官は今月(11月)14日の定例会見で「特殊詐欺の被害は大変深刻な状況と考えている。取り締まりをさらに強化する必要がある」と危機感を示した。
警察庁によると、最近の特殊詐欺の被害額は2008年までは年間250億円前後で推移していたが、悪用された口座を凍結する振り込め詐欺救済法が08年に施行されると、09年には約95億円にまで急減した。
しかし、10年以降は再び増加傾向となり、昨年は約364億円と過去最悪となった。今年に入っても被害は止まらず上半期(1~6月)は約211億7000万円と昨年を上回るペース。特殊詐欺の7~9月の被害額は、3カ月間だけで約127億円にのぼった。