これに先立つ10月9日には、同じ裁判所が、中国の胡錦濤(こ・きんとう)前国家主席(70)が88~92年、チベット自治区の共産党幹部として大量虐殺に関与したとするこの僧侶の訴えを受理している。
裁判所の普遍的管轄権については、自国民を引き渡す義務はないというのが通説だ。このため、5人が中国国内にいる限り、スペインの裁判所で裁かれる可能性は低いとみられるが、中国を出国すればゼロというわけではない。
ピノチェト氏は拘束
国際社会を驚かせたのは、反体制派の数千人を粛清(しゅくせい)したといわれる南米チリの独裁者、アウグスト・ピノチェト氏(1915~2006年)が大統領辞任後の1998年、英当局に逮捕されたケースだ。チリ在住のスペイン人に対する人権侵害を理由にピノチェト氏への逮捕状を発行していたスペイン司法当局は、犯罪人引き渡し条約を結んでいる英当局に、病気療養のため英国を訪れたピノチェト氏の逮捕を要請し、英当局が身柄を拘束した。