現行法案がこのまま通過すると、結果として適性評価を通過したごく一部の官僚が、特定秘密を独占することになる。これらの官僚は、資格試験によって採用されただけで、民意によるチェックを受けていない。まさに特定秘密に該当する情報は、国民のものではなく、国家のものでもなく、より直截(ちょくせつ)に述べるならば、国家権力を運営する官僚のものという帰結になる。
戦争を行うか否かの決断は、国民による選挙で選出された代表の最高責任者である首相が、特定秘密を含むすべての情報を得た上で行うべきだ。そのためには、首相の責任で自ら、官房長官、外相、防衛相ら日本国家の存亡にかかわる究極的決断に関与する閣僚の適性評価を行うことが不可欠だ。拙速に特定秘密保護法案を成立させると国益を毀損(きそん)する。(作家、元外務省主席分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)