スイス・ジュネーブで開かれていたイラン核問題をめぐる協議で、国連安全保障理事会5常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランは11月24日未明、核問題の包括的解決に向けた「第1段階」の措置で合意。イランは軍事転用が懸念されるウランの濃縮活動などを制限する一方、欧米はイランへの経済制裁の一部を緩和する。2006年から続く双方の核協議で本格合意に至ったのは初めて。双方の不信解消に向けた一歩となる。オバマ米大統領は合意を受け、「初めてイランの核計画の進展を止めた」と意義を強調。イランのロウハニ大統領は「新たな展望を開くものだ」と評価した。
第1段階措置の実行期間は6カ月。米側発表によると、イランは(1)濃縮度5%超のウラン濃縮活動を停止(2)保有する濃縮度20%のウランを軍事転用が困難な形に転換(3)プルトニウム抽出につながる西部アラクの研究用重水炉建設を凍結-を行う。国際原子力機関(IAEA)が合意事項が順守されているかを確認する。
一方、6カ国側は、イランが海外から石油販売関連の収入のうち最大42億ドル(約4200億円)の送金を受けとることを認めるほか、金・貴金属類や石油化学製品の取引制限なども一部停止する。制裁の緩和は総額約70億ドル(約7000億円)相当。6カ月の間、追加制裁を科さない。