スペースXはこれまで約40回の打ち上げを実施し、国際宇宙ステーション(ISS)には無人機「ドラゴン」が10回物資を運んでいるが、これらは高度数百キロから千数百キロの低軌道に乗せたものだった。しかし、今回の打ち上げで、ファルコン9の最新型は、利用目的の広い高軌道に初めて商用衛星を乗せることに成功した。
これについてスペースXの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスク氏(42)らは声明で「今回のSES-8の打ち上げ成功で、バージョンアップしたファルコン9が(商用衛星などの)打ち上げに関し、業界最高の性能を有することが確認できた」と胸を張った。
一方、顧客であるSESのマーティン・ハリウェル最高技術責任者は、打ち上げ前、BBCなどに「(成功すれば)スペースXは商用衛星市場での競争の流れを一気に変え、業界を根底から揺さぶる存在になる」と指摘した。
シャトルの8分の1
この指摘は大げさではないだろう。スペースXの公式サイトによると、ファルコン9の打ち上げ費用は5650万ドル(約56億円)。米のスペースシャトルの約8分の1だ。低価格で安全に商用衛星を高軌道に飛ばせるなら注文が殺到するに違いない。