カンボジア・メコン川=2013年12月15日現在【拡大】
魚のハイウエー
日本も出資する国際研究機関ワールドフィッシュの魚類専門家、エリック・バラン(48)らは昨年、メコン川の支流に計画されている数多くのダムの中でも、セサン下流第2ダムは魚の生息への影響が飛び抜けて大きくなる恐れがあるとの研究成果を発表した。
エリックは「あのダムは回遊する魚にとっての重要なハイウエーを遮断するようなものだ」と指摘。「周辺の小さな流れを活用して自然の魚道のようなものを造ってやれば影響を減らせるかもしれないのだが、政治家は耳を貸してくれそうにない」と話す。
メコン川流域では本流を含めダムの建設がめじろ押しだ。その環境と人々の暮らしの将来について「楽観的ではいられない」と言うエリック。「生活の糧を川の魚に依存するしかない多くの貧しい人々にとって、今の変化はあまりに速すぎる。せめて、それをもっと緩やかにすることができればいいのだが」とつぶやいた。(敬称略、共同/SANKEI EXPRESS)