また、工作機械や半導体性装置など「輸出品の高付加価値化で、値下げ競争を行う必要がない」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)ため、円安による貿易収支の改善効果が低下した側面もある。
麻生太郎財務相は11月の会見で、国内総生産(GDP)に占める輸出割合に触れ「ドイツは約50%、中国は30%ぐらいで韓国は50%超ぐらい。これに対して日本は15%以下」と語り、日本が貿易立国であるという認識に疑問を呈した。景気回復は、まず輸出から…という従来のパターンが変わる可能性も出ている。
≪揺らぐ貿易立国 海外からの還流カギ≫
財務省が12月11日発表した11月の貿易統計速報では、貿易赤字の拡大が鮮明になった。貿易赤字に歯止めがかからない背景には、製造業の海外移転の進展などの構造的な変化がある。日本の高度経済成長期に輸出を支えた電機業界では、その動きが顕著だ。
2013年の電気製品の輸入額は輸出額を上回り、電機産業としては初の「貿易赤字」に陥る可能性が強まっている。電子情報技術産業協会(JEITA)と日本電機工業会(JEMA)の統計によると、13年1~9月の電子機器と白物家電を合わせた輸入超過額は、約8080億円にのぼっている。