「前で歌う心構えをきちんと持てる人ならセンターに立てる。でも多くの人がなじめない。強いエゴがないからだ」というスターの言葉には説得力があります。ダーレン・ラヴ、クラウディア・リニア、リサ・フィッシャー……画面には次々と無名のバックシンガーが登場します。彼女たちとスターの違いは何なのでしょう。運? ルックス? 才能? 素人目には、やはりオーラが薄いような印象です。ギラギラしていないというか、押しが弱いのかもしれません。ブルースのいう「強いエゴ」、人を蹴(け)落としてまでも成り上がる野心が欠けている感じです。
バックシンガーの黒人女性たちの多くは子供時代、教会でゴスペルを歌い歌唱力を培ってきました。教会では自然と奉仕精神や謙虚さも身に付けたのでしょう。バ
ックシンガーには基本、競争心がなく、「歌える子がいるわ」と、別の人をプロデューサーに紹介することもよくあるそうです。映画の中でも「歌は絶品」などと惜しげなくほめ合っていて、生き馬の目を抜く音楽業界の中でもバックコーラスの周囲だけはピースフルなサンクチュアリ。スティングなど数々のスターのバックで歌ってきた驚異の歌唱力の持ち主、リサ・フィッシャーの言葉も印象的でした。