経済の好循環実現に向けた政労使会議であいさつする安倍晋三(しんぞう)首相(左)。右から古賀伸明連合会長、米倉弘昌経団連会長ら=2013年12月20日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
円安で輸出企業の業績はおおむね好調だが、中小企業や零細企業は円安により上昇した原材料価格の転嫁が難しく、仕事は増えても利益は増えていない。企業や業種により、賃上げ余力には温度差がある。このため経団連は、経労委報告の原案で「賃上げとベアは同義語ではない」と労働側を牽制(けんせい)。その上で「賃上げは賃金、手当、賞与など年収ベースで見た報酬全体の引き上げととらえるべきだ」とした。また、年齢や勤続年数で自動的に給与が上がる定期昇給についても「仕事の役割や貢献度に応じて昇給を決める仕組みを」と見直しを訴えた。
デフレ脱却に向け、景気の好循環の実現に賃上げは不可欠だが、足並みはばらつきそうだ。
≪業績改善ばらつき 実現は不透明≫
2014年春闘で、相場をリードする産業別労働組合は、ベアに相当する賃金改善を統一要求する方針を相次いで決め、賃上げムードは高まる。ただ、経営状況は企業ごとに異なり、業績改善が遅れる中小企業なども目立つため、ベア実現には難航も予想される。