映画は、加賀藩に実在した包丁侍、舟木伝内と息子の安信が残した献立書「料理無言抄(むごんしょう)」をもとに、江戸時代の武家や庶民が実際に食べていた料理を再現。作中に登場する本膳料理を監修した金沢市内の「大友楼」を訪れた。加賀藩の料理頭だった大友家の末裔(まつえい)が営む料亭だ。
当主の大友佐俊さん(66)は「武士の別の面が見られ、加賀の伝統料理も知ってもらえる。すばらしい映画です」と話す。供応の宴の前に安信が右手に包丁刀、左手にまな箸を握って行う“食の儀式”に関しても、「儀式の所作を会得するのは難しいのですが、短時間であれほどさまになるとは。筋がいい」と高良さんをたたえていた。
伝統の「揚げ浜式製塩」
食材を探しに能登を巡る旅に出た安信と春の夫妻の足跡をたどるように、能登半島へも。義経伝説が伝えられる“義経の舟隠し”や琴ケ浜、白米千枚田は日本海に面した地域。能登は厳しい自然が育んだ食材の宝庫なのだ。江戸時代以前から続く“揚げ浜式”製塩を行っている珠洲市の「奥能登塩田村」も訪れた。