アフガニスタンに展開している米軍が2015年以降も駐留を継続するための取り決めとなる、米・アフガン両政府による「安全保障協定」の前途に暗雲が垂れ込めてきた。アフガンのハミド・カルザイ大統領(56)がここへきて協定への署名に複数の条件を突きつけ、オバマ米政権が当初目指していた年内の署名はほぼ絶望的となった。
「ゼロ・オプション」
米、アフガン両政府は11月、協定案について基本合意し、アフガンの部族長老らで構成される最高意思決定機関「国民大会議(ロヤ・ジルガ)」も協定内容を承認。これで協定は実現すると誰もが思ったが、カルザイ氏は、「米軍による空爆と民家捜索の停止、タリバンとの和平仲介は、署名の絶対的必須要件だ」と頑強に主張して、米国から譲歩を引き出そうと駆け引きを展開し、米政府を困惑させている。
カルザイ氏の言動について、米紙ニューヨーク・タイムズ(12月20日付)のコラムは、「非常に悪賢く、この上なくばかげた」危険なゲームだと評した。