アフガニスタン・首都カブール【拡大】
もし協定が締結されなければ、オバマ政権は「ゼロ・オプション」と呼ばれる、2014年末までのアフガン駐留米軍の全面撤収に踏み切らざるを得なくなる。
アフガンと並ぶ対テロ戦争の舞台だったイラクで米国は、同様の協定を結んで小規模の米軍部隊を残留させ、現地治安部隊の育成と対テロ作戦の支援を続けようとした。だが、協定をめぐる交渉が頓挫し、駐留米軍は11年12月に全面撤収。宗派対立の再燃などで治安は悪化した。
評判失墜のカルザイ氏
ニューヨーク・タイムズ紙コラムは、もしアフガンで米軍が全面撤収すれば、米軍が育成・支援してきたアフガン国軍は崩壊し、ソ連軍撤退後のような内戦状態に逆戻りすると警告する。
カルザイ氏はなぜ、こうした振る舞いに及ぶのか。英誌エコノミスト(11月23日号)は、来年に2期目の任期を満了し退任するカルザイ氏が、有利な条件を引き出して署名することで実績を残し、国民に「米国の操り人形ではなく、偉大なアフガン人と見なされたいため」と解説するが、実際の動機は誰にも分かっていない。ただ、ニューヨーク・タイムズ(11月23日付)の社説は、カルザイ氏を「気まぐれで、(米国とアフガンの)今後の協調関係を構築する上で頼りにならず、危険な人物」と酷評するなど、欧米諸国での評判が失墜していることだけは間違いない。