アフガニスタン・首都カブール【拡大】
一方、米政策研究機関「ヘリテージ財団」のジェームズ・カラファノ氏(58)によれば、オバマ政権の一部では、カルザイ氏の態度に愛想を尽かし、これまではカルザイ氏への警告の意味合いを込めて言及してきた「ゼロ・オプション」を、実行に移すのもやむを得ないとの声が浮上。米軍の全面撤収後は中央情報局(CIA)と特殊部隊による(1)無人機攻撃(2)タリバン系武装勢力の後ろ盾であるパキスタン政府の買収-といった手段でテロリストを封じ込めるシナリオも水面下で検討されているという。カラファノ氏は、両国間の一連の駆け引きを「まるでテレビのメロドラマのようだ」と揶揄(やゆ)した。
イラク外相が忠告
ニューヨーク・タイムズ(12月17日付)によると、イラクのホシヤル・ジバリ外相(60)は最近カルザイ氏と会談した際、米軍撤収後の自国の惨状を引き合いに出し、安全保障協定に署名して駐留米軍を引き留めるよう強く勧めたという。ジバリ氏はニューヨーク・タイムズ紙に対し、イラクのヌーリ・マリキ首相(63)が11月、治安状況の深刻化を受けて訪米し、米国に軍事支援の強化を要請したと明かした。
だが、今のところカルザイ氏がこうした忠告に耳を傾けている節はない。しばらくは「あまりに高い代償を伴う無意味な政治的チキンレース」(米紙ワシントン・ポスト)を続けていく構えのようだ。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)