土曜日は朝から落ち込んでいる。前日のことを後悔しているのだ。弱い私はついに不安に打ち勝つことができず、早速執筆に取りかかろうとする。…書くだろうか? 本当に? 甘い考えかもしれないが、そこで「今、あきらめたら、執筆スタイルを変えようとした努力が、すべてが水の泡だ」という、もう一人の自分の声が聞こえる可能性を、私は信じたい。そうして痛みを伴う英断で、初志貫徹することを心に誓った私は、あえてスキーに出掛けるのだ。歯を食いしばって泣きながら夜まで滑り、どうせなら…と一泊していくだろう。
日曜日の夕方まで、たっぷり遊んで帰ってきた私は、この一週間で初めて真剣に原稿に向かい始める。
集中する。
波を掴(つか)んだ私は、自分ではない誰かに突き動かされているようなスピードで、真っ白な原稿にみるみる言葉を紡いでいく。集中力が恐ろしいほど続く。私は書き続ける。