【アメリカを読む】
昨年(2013年)12月、米国家安全保障局(NSA)の情報収集活動の合憲性について、連邦地裁の判断が真っ二つに分かれた。米首都ワシントンの連邦地裁は、不特定多数を対象にした通話履歴の収集は憲法の修正4条で禁じられた「不合理な捜索にあたる」として違憲性を指摘。一方、ニューヨーク南地区の連邦地裁は、テロ防止のための必要性を認定し、合憲との判断を下した。プライバシーの尊重と安全保障上の必要性のバランスをどのようにとるかという問題の難しさを浮き彫りにしたかたちだ。バラク・オバマ大統領(52)は1月中に情報収集活動のあり方についての検討結果を発表する方針だが、難しい説明を迫られることになりそうだ。
「テロ阻止の実例なし」
連邦地裁で判断が下されたのは、通話相手の電話番号や日時、通話時間などの通話履歴の収集活動の合憲性。NSAは会話の内容を盗聴しているわけではなく、外国情報監視裁判所(FISC)の承認を得たうえで情報を集めているが、昨年(2013年)6月に中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者(30)の暴露に基づいた米英メディアの報道で、テロ活動とは関係のない一般市民を含む不特定多数が広く対象になっていることが明らかになり、米国内でプライバシーの侵害にあたるとの反発が沸き上がっている。