日銀は昨年(2013年)11月までの1年間で65兆円もカネを発行して、金融機関から主に国債を買い上げてきた。まずは株式市場である。日銀マネーが直接、金融機関経由で株の購入に充当されるわけではないが、量的緩和はドルなど他通貨に対する円安を招き寄せる。米欧の投資ファンドを中心にした外国投資家は「円安=日本株買い」という自動売買プログラムを稼働させるので、株高が導き出される。かくして日経平均株価は11月末までに75%上昇し、東京証券取引所の株式時価総額は187兆円膨らんだ。
ではわれわれが働いて所得を得て、消費する実体経済にどれだけカネが回ったのか。まず銀行の資産は37兆円、預金は25兆円増えた。日銀が銀行から国債などを買い上げた分、銀行は資金を受けとるが、その97%の63兆円はそのまま民間銀行が持つ日銀の当座預金にとどめ置かれる。なにしろ日銀はこの銀行の余剰資金に0.1%の金利を払ってくれるので、銀行は積極的に貸し出しに回さなくてもよい。従って、貸し出し増加額は日銀資金供給増加額の22%弱の14兆円にとどまる。