円安はエネルギーなど輸入原材料コスト高を生む。中小企業の大半はコスト上昇分を販売価格に転嫁できない。その結果、中小企業営業利益は昨年4~6月期、7~9月期にそれぞれ前年同期比15%減、32%減と落ち込んでいる。価格転嫁できる大手企業の収益増とは対照的だ。
製造業大手はこれまでの超円高とデフレによる内需の低迷で、中国など海外の製造拠点を増強し、そこから部品や製品を国内に輸入するビジネス・モデルに切り替えた。量で見ると、輸出は東日本大震災後、最近に至るまで下落基調が止まっていない。輸入量は2010年初めから増加の一途を辿り、アベノミクス開始後は高水準のまま推移している。この結果、日本の貿易赤字は増加し続けている。
「異次元緩和による実体景気への影響には1、2年かかる」とリフレ派のエコノミストたちは言うが、なおさらのこと、今年4月の消費税増税後が気がかりだ。日銀の政策委員会の大勢は来年の消費者物価上昇率を消費増税の影響分を含め3%前後とみているが、インフレ分を勘案すると実質所得は減る。住宅や自動車、家電など耐久消費財の需要は消費増税前の駆け込み需要から一転して大きく落ち込む恐れがある。株高で今年も浮かれるのはばかげている。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)