日銀マネーがわれわれの消費や生産活動に回れば、銀行預金や現金流通量が増える。これらに預金に準じる大口の譲渡性預金証書(CD)を加えたものが、実体経済に流れるお金であり、金融用語では「マネーストックM2」と呼ばれる。通常、景気がよくなれば、おのずとM2は増えるのだが、日銀マネーが65兆円追加されたのに、M2はその54%強の35兆円しか国内の実体経済部門に回っていない。
ところが、多くの金融機関は国内よりも海外向けに融資するのは熱心である。企業の対外投資を含め、日本の対外金融資産は9月末で総額130兆円、海外の対日金融資産増加分を差し引いたネットで24兆円増えた。
要するに、日銀がお金を刷ればニューヨークなど国際金融市場から大歓迎されるが、国内の消費や雇用を活気づけているとは言いがたい。
総生産増大は公共投資
実体経済を表す名目国内総生産(GDP)は、昨年7~9月期で前年同期比9.7兆円、率にして2%強増大したが、それに寄与したのは主に公共投資である。量的緩和が民間消費や企業の設備投資を押し上げるには至っていない。