JR王子駅で降り、北に向かうこと約20分。荒川の土手沿いに建設されたハートアイランドに入ると、“人工”のふじみ坂を発見した。周辺は低地だが、団地内は高くなっていることから富士山が見られるようになったのだとか。坂の上の広場から西の空を見上げると、高層住宅のすき間にぽっかりと富士山の山頂が見えた。
残したい景色
坂名人の井手さんが、東京近郊の坂を歩き始めたのは今から約15年前だという。「初めての坂との出会いは、忘れもしない湯島の『妻恋坂』です。そもそも名前がロマンチックで気になったんですが、関東平野と言われる東京にも坂があったんだということも驚きでした」
その後、地図を意識して見るようになった井手さん、都内は坂だらけだったことに気付いたという。当時はインターネットが今ほど発達していなかったため、坂の名前を地図で見つけてはしらみつぶしに歩いた。特に文京区、港区には勾配が急な坂も多く、個性的な名前が付けられている坂もあったという。