こうして彼の存在について書くことで彼がいかに貴重な存在であるかがおわかりいただけると思う。クラブシーンで若者を熱狂させる楽曲で歌っているかと思えば、世界最高の音楽賞にもノミネートされる。ラッパーとのコラボレーションで、B-BOY(ヒップホップの愛好家たち)の共感を呼んだかと思うと、高級ブランドの雑誌広告にも登場し、セレブリティーとして注目を集める。
ここまでの振れ幅を持ち、一般人からサブカルチャー好きまでにアピールできる音楽人は希有である。強いて言えば、レディー・ガガが彼に迫る存在ではあるが、ファレルが旧譜を愛好するマニアックなDJからも評価されているのに対し、彼女の曲はクラブでもどちらかというと昔ながらのディスコに近い“大箱”の切り札として使われるポップチューン。それにファレルは、ガガと違って単なるセレブではなく、街のキッズたちのリアリティーを理解したテイストメーカーでもあるのだ。このボーダーレスなバランス感覚こそが独壇場なのだ。
洗練された歌唱
日本にありがちな作られたスターではなく、彼が自分のセンスで活動している証拠は、単なる歌手ではなく、自分で曲も作り、時に、自分以外のアーティストをプロデュースしていることに表れている。