おおすみは全長約180メートルで乗員は135人。医療設備や補給設備を備え、昨年(2013年)10月には豪雨被害を受けた伊豆大島に重機を輸送、昨年(2013年)11月には台風被災地のフィリピンに派遣された。
阿多田島は大竹市沖約8キロで、山口県との県境付近。
≪汽笛、突如2回 「こんな大きな事故は今までない」≫
穏やかな朝の海に大きな汽笛が2回、響いた。1月15日、阿多田島沖で「おおすみ」と釣り船が衝突した事故。冬の海に投げ出された男性はクーラーボックスにしがみつき助けられた。
「ポーッ、ポーッ」。午前8時ごろ、霧がかかったときにしか鳴らない汽笛が突如、鳴った。阿多田島漁協の女性職員(59)は慌てて海を見た。晴れた寒空の下に見慣れない灰色の自衛艦の姿があった。
同じころ、阿多田島の桟橋工事の警戒で船を出していた中村孝春さん(76)も同じ汽笛を聞いた。自衛艦のすぐそばに小さな黒い何かが浮いているのが見えた。「転覆か」。工事作業員を乗せて船を出した。約2キロ。だんだん近づくとクーラーボックスにしがみつき、漂う男性がはっきりと見えた。