「大丈夫か」と声を掛ける。つぶやくように「大丈夫」と返ってきた。別の船で来た作業員と3人がかりで引き上げた。体を震わせ、もう言葉が出てこない男性を自衛艦から下りてきたボートに引き渡した。第6管区海上保安本部によると、釣り船の伏田則人さん(67)とみられる。
中村さんは「助かってほしいという一心じゃった。この辺は航路も広く、見晴らしも良い。こんな大きな事故が起きたことは今までない」と話した。
重体の船長、高森さんら2人が引き上げられた山口県岩国市の桟橋。近くの通船会社会長、平本照雄さん(66)は「午前8時半すぎに、桟橋を使わせてほしいと連絡を受け、9時15分ごろに巡視艇が着いた。2人は担架で運ばれていて、消防隊員が心臓マッサージをしていた」と話した。
救助された寺岡さんの妻によると、4人は釣り場で知り合った仲間。「午前7時に集まる」と自宅を出た。正午ごろ「事故があったけど無事」と電話があったという。(SANKEI EXPRESS)