スポーツを国威発揚の道具に利用してきた中国では、「国家」が「個人」の上位に置かれている。2010年バンクーバー冬季五輪では、女子ショートトラックで金メダルを獲得した当時18歳の周洋(22)が「これで両親の生活を少し楽にさせられる」と発言したところ、国家体育総局の幹部が「両親より国家への感謝が先」と非難したほどだ。
李娜は08年、他の女子選手3人とともに、国家チームを離脱した。恋愛を禁止されたことが理由とも伝えられているが、ともかく、スポンサー料などの商業収入の8%、大会の賞金の12%を中国テニス協会に納めることを引き替えに、練習や試合出場について、自分の思い通りにできる“自由”を手にしたのだ。
幹部への不満の裏返し
李娜が優勝インタビューなどで、共産党や国家への感謝を口にすることはない。そんな国家の強化システムから独立したスポーツ選手に対する公費の支出を、疑問視する声がある。湖北省は李娜の成功に何ら関わっておらず、省政府が李娜に報奨金を贈るのは筋違いだ、との意見もある。