存在自体が恥ずかしい
「自分の存在自体が恥ずかしい」という意識の原体験は、幼少時の海外生活にある。「エジプトに住んでいたのですが、日本人は現地では『お金持ち』だけれど、エジプト人の友達は貧しくて靴も履いていない。自分の手柄でもないのにこんなにっぜいたくをして恥ずかしい、という意識がずっとあった」
葉太が抱える苦しみも、同じ。著名な作家を父に持つ葉太は、イケメンでお金持ち。でも、それゆえに恥ずかしい。「『金持ちだから苦しいねん』なんて、周りに言えませんよね。でも、苦しいのは真実。『人の苦しみに比べたら私のなんて甘い』と軽んじることなく、自分の苦しみを苦しんであげてほしい」
自分自身を見つめる目
葉太は亡霊が見えるという特殊な能力を持つ。「常にこの世ならざる者から見られている、という感覚ですね。日本人は『バチが当たる』という感覚があるけれど、それは常に誰かから見られている、ということ。その誰かは世間や亡霊かもしれないし、究極的にはもう一人の自分なんだと思う」