1877(明治10)年の西南戦争で明治政府のナンバー2の右大臣だった岩倉具視(ともみ、1825~83年)が使った暗号表や、最後の徳川将軍・慶喜(よしのぶ、1837~1913年)が官軍に江戸攻撃中止を求めた直筆哀訴状など重要文化財級を含む数万点の史料が、江戸-明治の本草(ほんぞう)漢学塾「山本読書室」跡(京都市下京区)の土蔵に秘蔵されていたことが2月2日、分かった。松田清京都外大教授(66)=日本洋学史=が約2年半調査し、目録を刊行した。
慶喜直筆の哀訴状
重文級は少なくとも数百点で、このほか、菅原道真(みちざね、845~903年)直筆の可能性が指摘される9世紀の写経もあり、新史実の解明が期待できる一大史料群として注目されそうだ。
新史料の年代は平安から明治と広いだけでなく、古文書や書画、博物標本、歴史的な手紙など多岐にわたり、中野三敏(みつとし)九州大名誉教授(78)は「類例のない大量の新史料」と評価している。