≪嫌な予感的中 マイナス28度の大移動≫
ストックホルムを出た列車はノルウェーの首都、オスロへと向かう。緯度の高い北欧ではこの時期、日照時間が極めて短い。ちなみにストックホルムは午後3時を過ぎるとあたりは暗くなってくる。
北極圏に入ると、一度も日が昇らないまま夜になってしまう「極夜」の地域もあり、昼なのか夜なのか、果たして今食べているのが昼食なのか夕食なのかも分からなくなってしまう。
天候不良もあり、結局今回の旅で日の光を見たのは、オスロへと向かう列車の中が最後となった。
ドンドンドン! 誰かが部屋のドアを強くたたいた。ノルウェー中部の都市、トロンハイムから乗った夜行列車の個室で眠っていたときのことだ。寝ぼけ眼で扉を開けるとそこには車掌の姿があった。時刻は午前5時前、あたりは白銀の世界だ。
「We have a problem」。欧州を襲った寒波の影響か、列車が故障したのでバスに乗り換えてほしいと言う。車掌によるとこんな寒波はめったにないらしい。