バスを乗り継ぎ、午後10時過ぎにたどり着いたのは北極圏の地方都市、ノルウェーのナルビクだ。ナルビクは北緯68度に位置しており、冬の11月下旬から1月にかけて、太陽が一日中昇らない「極夜(きょくや)」となる。北極圏で極夜と聞くと、極寒を覚悟していたが、意外と寒くない。北大西洋海流の影響から1月の平均気温は氷点下2.1度と比較的温暖だ。それでも油断は大敵。鼻で息をしていると、すぐに寒さを通り越して痛みに襲われた。
≪突然現れた幻想的な光のショー≫
ロープウエーで街を一望する展望台に登った。時刻は午後2時半。夜のように暗い眼下にはオレンジや黄色など暖色の灯りに包まれた町並みが広がり、鉄鉱石を満載した貨物列車がゆっくりと進んでいく。「ヨーロッパ最北の停車場」として知られる、ノールラン鉄道のナルビク駅だ。
ナルビクは隣国・スウェーデンのキルナ鉱山で産出した鉄鉱石を船で積み出す玄関口として発展。第二次世界大戦中は、ドイツ軍と連合国軍が港湾施設をめぐり激戦を繰り広げた。現在は年間約1500万トンの鉄鉱石が、ここから欧州各国や需要の旺盛な中国などへと運ばれていく。