米ハワイ沖で米原潜が愛媛県立宇和島水産高校の実習船えひめ丸に衝突し、生徒ら9人が死亡した事故は、2月10日で発生から13年。毎年、この日に開かれる追悼式は今年から簡略化されることが決まった。亡くなった教諭の中田淳さん=当時(33)=の妹で、広島県福山市に住む香織さん(40)は「形が変わっても、この日だけは犠牲者に祈りをささげてほしい」と願う。
例年の追悼式は高校の体育館で在校生や遺族らが黙祷(もくとう)。その後、生徒会が事故の経緯を発表し、合唱団が鎮魂歌を披露してきた。今年からは一部遺族や負傷者の要望を受け、黙祷と献花のみにする。香織さんは学校の方針を理解しつつも「事故を『終わった出来事』にはしないで」と訴える。
淳さんは生徒を釣りに誘ったり、試験中にヒントを出そうとしたりする、兄貴分のような存在だった。事故前には荷造りをしながら「船で何かあっても生徒を逃がさにゃ俺は上がらん」と香織さんに話していた。