僕は、愛知県立芸術大学という学校で非常勤講師をしている。毎週通うのは本業があり難しいのだが、毎年数度学校を訪れ、学生たちに自分の仕事について話す機会をもらっているのだ。愛知出身の僕にとっては故郷との関わりが増えるのはうれしいかぎり。中部地方の芸術大学の雄に通う学生たちは、首都圏の芸大生と比べておっとりしているように見えるが、芯はしっかりしているから僕も刺激をたくさんもらう。
そんな愛知県立芸術大学の芸術情報センター図書館で、年明けにワークショップを開催した。名付けて、「ライブラリー in ライブラリーをつくる会」。通常の十進分類法によって整然と並べられた図書館の本から学生たちが恣意(しい)的に何冊か本を抜き出して、図書館の中に小さな手づくり図書館をつくろうとする試みだ。
自ら訴えかける場に
50年近く前に吉村順三が設計した建築物でも知られる歴史あるこの大学。10万冊以上の蔵書を誇る図書館はじっくり眺めると、じつはお宝の山である。フランスはパリにあるポンピドゥーセンターが最もセンセーショナルだった1970年代のカタログがずらりときれいにそろっているし、1930年代にテリアード社から出版され、ピカソやマティスなどが描きおろしを寄稿したことで知られる大判のアート雑誌『VERVE』などもあった。初めてそこを訪れたときの僕は、興奮してばかりだった。しかも、博物館のガラスショーケース越しではなく、それらの本のページを自ら開けるなんて。