団体を終えた後、日本チームが練習拠点を置くアルメニアで調整し、(2月)15日に再びソチ入りした浅田は、(2月)16日の公式練習では3Aを1度に減らした新構成のフリーを音楽に合わせて軽快に滑り、好調ぶりを印象付けた。
3回転半3発は封印
バンクーバー五輪では浅田は、SPとフリーで計3度、大技である3A(基礎点8.5)に成功し、ギネス世界記録に認定された。「自分にできる最高のレベル」と、今回も偉業の再現を目指したが、1月に入って方針を転換した。3Aが持ち技にない金妍児に敗れたのは、他のジャンプで細かいミスが出たためだからだ。また、実際問題として、フリーに3Aを2度投入するより、1度に減らして代わりに3-3回転のコンビネーションを取り入れる構成の方が基礎点は高いことは以前から指摘されていた。
例えば、ルッツ-トーループの2連続3回転ジャンプなら、基礎点は6.0+4.1で10.1、フリップ-ループなら5.3+5.1で10.4となる。このことが分かっていても、前回、3Aを3度跳ぶ構成にこだわったのは、自らのアイデンティティーへの愛着だった。