また、ドラマーのリチャード・スペイブンは、ブルガリアの女性ボーカリスト、ルス・コレバをプロデュースするなど、ホセ周辺は単なるサポートメンバーではなく、個々がクリエーターとして積極的に活動している。彼らはホセとのツアーでそのクリエーティビティーに触発されたに違いない。ボーカリストでありながら、曲によってはメンバーに大胆に主導権を委ね、ステージの端から彼らを見守るというホセの寛容さはメンバーを奮い立たせたことだろう。その姿に、数々の門下生を世に輩出したマイルス・デイビスを重ね合わせたのは僕だけではないはずだ。
実は、大雪の日に、筆者がプロデュースする渋谷の飲食店にホセ本人が遊びに来てくれた。何と自らがDJを買って出て、秋に発売されるというニューアルバムを先行披露してくれたのだ。新しい音源はロックやブルースの要素も導入し、荒々しさや泥臭さを身につけた新しくも懐かしいにおいがしている。今以上に幅広い年齢層やリスナーを獲得すべく彼の世界が拡張されている印象を持った。