心にあいた穴
結果はすぐには出ない。12年3月の世界選手権で6位に沈み、佐藤コーチに「スケートをしたい気持ちが湧いてこない」と打ち明けた。初めて取った2週間の休養。このとき心の穴を埋めてくれたのが、2歳上の姉、舞さんだった。「今まで取れなかった時間を一緒に過ごそうよ」。山梨県の農園で土に触れ、乗馬を楽しんだ。
その年の6月には一緒にハンガリーに渡り、バレエのレッスンを受けた。1週間の予定が3週間に。踊ることが「楽しい」と素直に思えた。「もう一度、スケートを滑ろう」。再びソチを目指そうと心を定めた瞬間だった。
気持ち奮い立たせ
4年間の思いが強い分、ソチでは極度の緊張感に襲われた。SPの成績は本人も想像すらしていなかった結果だ。それでも、前に進むしかない。「やるべきことをやる」ために。それが母との約束だから。沈みがちな気持ちを奮い立たせ、23歳は最後のリンクに立つ。