本覚寺は室町時代に身延山久遠寺(くおんじ)から日蓮上人の遺骨が分骨され、「東身延」と呼ばれるようになった。境内に夷堂(えびすどう)があり、正月三が日の「初えびす」と1月10日の「本えびす」には商売繁盛を願うたくさんの人でにぎわう。
すぐ近くには同じく日蓮宗の妙本寺。こちらはかつて、中原中也と小林秀雄が一緒に境内の海棠(かいどう)の花を見て春の午後を過ごしたという少々わけありのエピソードも残る。
海棠の見頃は4月の半ば。本覚寺と妙本寺はともに午後6時になると鐘がつかれる。鐘の音の立体音響を聴きながら暮れゆく裏道を歩く。これもまた鎌倉散策の楽しみの一つだ。春が待ち遠しい。
≪「背後まであまねく慈悲を」≫
相模湾を望む浄土宗の名刹(めいさつ)、長谷寺は小高い観音山の山すそに位置する下境内と中腹の上境内とに分かれている。小雨まじりの3月1日朝、妙智池と放生池の周囲に紅白の梅とピンク色の河津桜が咲き競う下境内から、石段を上がって上境内の観音堂を訪れた。