修繕の際、とくに傷みがひどかった光背は新しいものに造り替えられており、旧光背の部材で後立観音御守も制作されている。「観音菩薩の慈悲が(われわれの目の届かない背後まで)あまねく施されるように」という願いが込められた御守だ。
春は名のみのお天気とはいえ、1日は土曜日だったこともあって、午前中からたくさんの参拝客が観音堂を訪れていた。
特別開帳について、長谷寺ではとくに積極的な事前告知を行っていたわけではなかったという。露座の大仏で有名な高徳院と十一面観音の長谷寺は、いわば鎌倉散策長谷地区編の2大拠点。
まず江ノ電で長谷まで行き、心ほぐれるワンデー散策の出発点に長谷寺を選ぶ人も多いのだ。
観音堂の天井からは、後立観音につながる真新しい五色の手綱が垂れ下がっていた。その手綱を軽く握って祈りをささげる。
特別開帳を知らずに訪れた人たちにとってはきっと少々の寒さも吹き飛んでしまうような、幸運な鎌倉の休日のスタートになったに違いない。(文:編集委員 宮田一雄/撮影:写真報道局 渡辺照明/SANKEI EXPRESS)