建築界のノーベル賞といわれ、優れた建築家に贈られる米プリツカー賞の今年の受賞者に、紙の筒など低コスト材料を使った住宅などを設計し国際的に災害支援の建築を手掛けてきた日本の坂茂(ばん・しげる)さん(56)が選ばれた。賞を主宰するハイアット財団が3月24日、発表した。
避難所に間仕切り
日本人としては7人目で、昨年(2013年)の伊東豊雄さんに続く2年連続の受賞。財団は「創意工夫に富んだ設計を顧客に対してだけでなく、人道的取り組みの中でも広く行ってきた」とし、「20年間、世界中の被災地を回り、住民らと協力して低コストで再利用可能なシェルターや住宅を設計・建築した」と評価した。
坂さんは「機能的で住み心地が良く、美しい建築を被災者の人たちに提供しようと努めてきた。活動を評価していただき勇気づけられた」と述べた。授賞式は6月13日、オランダのアムステルダム国立美術館で行われる。
坂さんは1957年、東京都生まれ。94年、ルワンダ難民のために紙の筒「紙管」でつくったシェルターを提案。95年の阪神大震災でも紙管の仮設住宅などを提供した。この年、非政府組織(NGO)「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」を設立、被災地の住宅支援を続けてきた。