消費税増税時の消費者態度指数=2014年4月1日現在、※データ:内閣府【拡大】
しかし、経済は消費者が主役である。中国故事の猿のように簡単にだまされると思ったら大間違いである。
まず、4月以降の経済だが、家計消費は増税前の駆け込み需要の反動減を経て、7月以降回復するかどうか疑わしい。消費者心理の代表的データである内閣府発表の消費者態度指数を見ればよい。ゴールドマン・サックスの日本経済アナリスト・リポートによると、雇用、賃金、株価と消費者物価の4大要因に左右されるが、最近では物価上昇による悪化が最大のマイナス要因だという。
春闘による賃上げ率は全産業平均で1%に遠く及ばない。消費税増税に伴う物価上昇を含めた予想インフレ率3%超を大きく下回るし、「株価の鈍化ないし、消費増税後の経済下振れで雇用環境が悪化すると、消費者マインドはさらに悪化する可能性がある」(上記リポートから)。
グラフは最近の消費者態度指数推移を1997年4月の消費増税時と比較している。増税決定後から増税実施前まで、指数は急速に落ち込んだ点では今回の増税局面と重なる。
当時、増税実施後は若干の改善がみられたものの、9月以降は再び悪化し、翌年からはデフレ不況に突入した。消費者心理が弱くなった局面で、アジア通貨危機や山一証券の経営破綻が重なったことも響いたのだろうが、今回も国内要因に加えて、中国のバブル崩壊懸念など海外にも不安材料は多い。