財務省が3月10日発表した1月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は1兆5890億円の赤字だった。貿易収支の大幅悪化が主因。単月の赤字額では前月の6386億円を抜き、比較可能な1985年以降で最大となった。
経常赤字は初の4カ月連続で、赤字額は初めて1兆円を超えた。2013年4月~14年1月の経常収支の累計は1300億円程度の黒字にとどまり、13年度全体でも収支がマイナスになる可能性が浮上している。
経常黒字を前提に保たれてきた日本の財政に対する市場の信頼が揺らぐ懸念が出ており、赤字傾向が定着すると国債が売られて金利上昇を招く恐れもある。安倍晋三首相は10日の参院予算委員会で「経常収支の急速な変化を回避する観点から、経済再生を進めることが重要だ」との考えを表明。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は記者会見で「中長期で見れば収支は改善していく」との見方を示した。
経常収支の内訳をみると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が2兆3454億円の赤字。赤字額は比較可能な1996年以降で最大となった。