経常収支の推移(2013年1月~2014年1月)=2014年3月10日(財務省発表)、※2013年10月以降は速報値【拡大】
安倍政権の誤算は、円安が進み日本企業に有利な状況にもかかわらず、輸出がさほど増えないことだ。企業が生産拠点を海外に移す流れは変わらず、かつて世界を席巻した家電メーカーも競争力を失っている。
緊迫するウクライナ情勢や新興国の成長鈍化など海外経済の不安要素も多く、日本経済を再生する上で外需に過度な期待を寄せることはできない状況といえる。
14年1~3月期のGDP成長率は内需が支えて持ち直すとみられるが、問題は4月の消費税増税後だ。4~6月期はマイナス成長に陥ることが確実視され、7~9月期以降にどの程度改善するかも不透明だ。
政府、日銀に景気てこ入れを求める声が高まりそうだが、経常赤字が定着すると国の借金を国内資金だけで賄っていけないと市場からみなされ、財政への信頼が低下する恐れもある。安倍政権は、これまで以上に景気と財政の双方に目配りした難しい政策運営を強いられている。(SANKEI EXPRESS)