WVJの事業地に、40代くらいの男性が住んでいる。彼は、水道建設の作業にはさぼらずに参加するし、近所の住民にも作業に加わるよう呼び掛ける。私たちが集落でトイレ使用の啓発を行った直後は、自力でトイレを建てた。近所に住む人々も、彼に引っ張られたかのようにトイレを建てた。「他の住民が誰も来なかったとしても、俺一人でも作業するから見捨てないでくれ」と言った彼の言葉が、頭に残っている。いったい何がきっかけで、彼は奮起したのだろうか? 本当に成果が残る支援とは何かということを、日々考えさせられながら仕事をしている。(文:ワールド・ビジョン・ジャパン 三浦曜/撮影:ワールド・ビジョン・ジャパン/SANKEI EXPRESS)
■みうら・よう 2007年6月、米ワシントン・アンド・リー大学を卒業。化学を専攻し、副専攻で貧困問題について学ぶ。化学会社での勤務を経て、08年9月、ワールド・ビジョン・ジャパンに入団。13年2月より東ティモール駐在。
■ワールド・ビジョン・ジャパン キリスト教精神に基づいて開発援助、緊急人道支援、アドボカシー(市民社会や政府への働きかけ)を行う国際NGO。子供たちとその家族、そして彼らが暮らす地域社会とともに、貧困と不公正を克服する活動を行っている。www.worldvision.jp/