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離島で髪を切る人 幅允孝 (2/5ページ)

2014.4.7 17:50

写真集『島の美容室』より(福岡耕造さん撮影、提供写真)

写真集『島の美容室』より(福岡耕造さん撮影、提供写真)【拡大】

  • 写真集「島の美容室」(福岡耕造著/ボーダーインク、1944円)。版元のボーダーインクは、沖縄に関係があれば「ぬーやてぃんしむさ」(何でもOK!)というすてきな出版社(提供写真)
  • 「シマダス」(日本離島センター、3240円)。「面積」「人口」から「島おこし」まで。1000島以上の情報を網羅した島の総合ガイド(提供写真)
  • 「原色_日本島図鑑」(新星出版社、2700円)。著者の加藤が、日本の有人島すべてに足を踏み入れていく。旅心くすぐる写真も必見です(提供写真)
  • 「ビートルズへの旅」(リリー・フランキー、福岡耕造共著/新潮社、1728円)。リリーと福岡が、ビートルズゆかりの地を訪ね歩く。彼らの来歴に直接触れることで、尊敬は愛しさへと変わっていく(提供写真)
  • 鳩間島、西表島、小浜島、竹富島、新城島、黒島=沖縄県八重山郡竹富町
  • 沖縄県島尻郡渡名喜村(となきそん)の入砂島(いりすなじま)
  • 【本の話をしよう】ブックディレクター、幅允孝(はば・よしたか)さん(山下亮一さん撮影、提供写真)

 本書の著者、写真家の福岡耕造が渡名喜島を訪れたのは偶然だった。いくつかの離島を撮影するため沖縄をめぐっていた彼は、大きな期待もなく那覇の泊港からフェリーに乗って、数時間ゆられこの島にたどり着く。美しい天然のフクギ林や赤れんがの屋根を見ることができたものの、沖縄で2番目に人口の少ない400人ほどしか人口のいないこの村が、福岡の心を初見で揺さぶることはなかった。港の小さな食堂にいたしゃれた髪形のおばちゃんを見るまでは。

 「そのカットいいですね、どこで切ったんですか?」と福岡が聞くと、島のおばちゃんは喜々として答えたという。「福田さんとこ。内地から島に来て美容室やってるのよ。いいでしょ~、いつもここよ」

 美容師の福田さんとは何者なのか? 写真家の興味はむくむくと湧きあがる。聞くと、本州の茨城県で美容室を営む男は、毎月10日ばかりこの渡名喜島を訪れ、民家を改築した美容室で島民の髪を切っているのだという。カット用の椅子がひとつ、鏡とシャンプー台もひとつ、たったそれだけの小さな美容室。だけれど、台風の日も震災の後も、必ずこの島に通い続け、ただただ島民の髪の毛を切り続ける美容師の福田さんに、写真家は自分が撮るべきものを見つけた気がしたのだ。

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