ウクライナのアルセン・アバコフ内相(50)は4月13日、東部スラビャンスクで市庁舎などを占拠していた親ロシア派らの強制排除に着手し、その際の「対テロ作戦」で治安部隊員1人が死亡、5人が負傷したと明らかにした。親ロシア派との間で銃撃戦が起きたもようで、排除された側にも複数の死傷者が出ているという。緊張が高まる中、北大西洋条約機構(NATO)の関係者はロイター通信に「ロシア軍部隊がウクライナとの国境地帯に集結している」と言明。クリミア半島を力ずくでロシアに編入したウラジーミル・プーチン露大統領(61)はウクライナ侵攻に踏み切るのか、予断を許さない情勢だ。
「全土から投入」
アバコフ内相は交流サイト「フェイスブック」に声明を出し、強制排除の着手を発表した。ウクライナ東部では、警察官や保安庁の職員がデモ隊や武装集団に抵抗せずに建物を明け渡すケースが相次ぎ、警察特殊部隊が出動命令を拒否したと伝えられるなど、東部で新政権の支配が揺らぎ始めている状況を打開するため、実力行使に踏み切ったとみられる。
スラビャンスクでの強制排除には「全土から部隊を投入している」とアバコフ氏は言明。内務省だけでなく国防省も参加しているという。