家族をテーマとした映画作りをライフワークとする呉美保監督(37)の新作「そこのみにて光輝く」。北海道函館市のうら寂しい街を舞台に、人を愛することをやめてしまったり、人から愛されることを苦手に思ってしまう屈折した男女の出会いを描いたラブストーリーだ。ヒロインを演じた池脇千鶴(32)は「社会の底辺に寄り添った温かな気持ちにしてくれる作品。女性ならば共感できる内容だと思います」と紹介した。
原作は「海炭市叙景」の佐藤泰志(1949~90年)の同名小説。過去の悲しい出来事が忘れられず、仕事もせずただブラブラと毎日を過ごす佐藤達夫(綾野剛)は、たまたまパチンコ店で知り合った大城拓児(菅田将暉)の家に出入りするようになる。廃屋のような海辺の小屋には、寝たきりの父と無気力な母、夜の商売をしている姉、大城千夏(池脇千鶴)が暮らしていた。佐藤は懸命に生きる千夏に次第に引かれていくのだが…。