彼らから聞こえてくる言葉は、国への絶望そのもの。クリっと大きな目をした優しそうなホルヘは、大学を卒業しても将来は保証されておらず、より良い生活のためでなく、生きるためにアメリカ行きを選択する人もいる、と明かす。つい数日前にキューバで聞いた話と、よく似ている。「テレビをつければいつも暴力ばかりで、悲しくなる」と祖国の現状に心を痛め、「この国には不正と汚職があふれている」と肩を落とす。
こんなに不満を抱いている人が大勢いるなら「アラブの春」しかり、「メキシコの春」を起こす動きは生まれないのか。するとロベルトが、そんな私の思いを察したのか、「反乱の芽が出ようものなら、すぐにリーダーが殺される。本当にすぐに殺されるんだって」。彼の真剣な眼差しから、メキシコ中を覆う閉塞(へいそく)感が見えた気がした。(写真・文:フリーカメラマン 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS)