貿易収支の推移(2001~2013年度)。※2013年度は速報値【拡大】
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による円安は当初、原子力発電所の長期停止で増大した火力発電所用の燃料価格上昇を引き起こすものの、やがては輸出増につながり貿易収支を改善するという理屈だ。
だが、輸出増までのタイムラグとされた半年から1年が過ぎても、円安による輸出拡大効果は鈍いままだ。3月も原油や液化天然ガス(LNG)の輸入が2桁台の伸びを示す一方、主要な輸出品である自動車の輸出は9.0%の伸びにとどまった。
主因と指摘されるのが「輸出入における産業構造の変化」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)だ。円高時代に家電や自動車などの製造業が生産拠点の海外移転を加速した。このため、円安がただちに輸出拡大につながらなくなってきたほか、価格が上昇しても、輸入に頼るしかない商品分野が増えている。
この潮流にあらがうのは難しい。内閣府の「企業行動に関するアンケート」によると、12年に20.6%だった国内製造業の海外生産比率は13年度(実績見込み)に21.6%、18年度には25.5%にまで高まる見通しだ。少子高齢化に伴う生産人口の減少も視野に入っており、企業も国内の設備投資に踏み切れない。