4月24日行われた安倍晋三首相とバラク・オバマ大統領の日米首脳会談で最大の難関となったのは、やはり環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)だった。両首脳はTPPの戦略的重要性では認識が一致したものの、目標としてきた「大筋合意」は遠かった。首脳会談終了後も閣僚協議を継続し、共同声明の発表も協議の結果を待つという異例の展開に。交渉の難航を受け、東京株式市場では「失望売り」が膨らんだ。
農業保護に痛烈批判
会談後の共同記者会見では、両首脳の思惑の違いがクッキリと浮かび上がった。
安倍首相「わが国としては(重要農産品5分野の関税維持を求めた)国会決議を受け止め、国益にかなう最善の道を求めていく」
オバマ大統領「日本経済において、農産品、自動車といった分野の市場の開放度が制限されている。今こそ、解決すべき時だ」
大統領はさらにプレッシャーをかけてきた。「安倍首相も私も政治的な問題を抱えている」とした上で、日本に対し「自分たちの心地よい場所から踏み出して、他国の市場にアクセスするのが重要だ」と強調。歴代の自民党政権によって保護されてきた日本の農業への痛烈な批判を浴びせた。