共産党の指令一つで
ここで留意すべきは、中国の「影の銀行」である。地方政府機関を含む不動産開発業者は銀行からの融資と、「理財商品」と呼ばれる高利回りの信託商品で資金調達している。銀行は理財商品のおよそ半分を保証している。過去5年間を合計すると、銀行はおよそ17.5兆元(約300兆円)の不動産関連債権を持つ。中国の国内総生産(GDP)の3割近いので、確かに不動産相場が急落し続けると、信用恐慌に発展してもおかしくないが、現実はそうなるとは限らない。
中国共産党の指令一つで、中国人民銀行が創出かつ管理する巨額の資金が配分される。相場急落を続けるようだと、党中央は人民銀行と国有商業銀行に命じて国有企業や地方政府に資金を流し込む。この「奥の手」は以前、上海株の急落時に使われている。
第2に、理財商品が焦げ付いた場合、やはり党指令で資金が投入され、理財商品への投資家は保護され、「取り付け」騒ぎを防げる。第3に、仮に大手国有商業銀行のバランスシートが大きく毀損(きそん)しても、中国は380兆円以上の外貨準備を保有している。この外準を金融機関向け資本注入用に使える。現に、北京当局は2000年代後半に、大手国有銀行を香港などに上場させる際に、外準を使って不良債権を償却させている。