九州出身の音楽アーティスト、黒木渚さん(鋤田正義さん撮影)【拡大】
それは不器用な私が、人間らしくなるためのリハビリに近いものだった。自分自身のことについても、他人のことについてもよく目をこらして音楽に焼き付けること。不思議なことに、表現することに本腰を入れると、それまであまり深入りしなかった他人のことについてもにわかに興味が湧いてきた。
客席から見ている人が涙を流しているのにつられてもらい泣きをしたり、あんなに練習したのにうまくできなかった自分に悔し涙を流したり、と流す涙の種類も増えていく。
そして、ここ近年で一番多いのが幸せなことにうれし泣きなのだ。感激して涙が出るなんて昔の私からすれば想像もできない。でも確かに何かが私の中で変わったのを感じる。ステージで涙が出たって、叫びをあげるぐしゃぐしゃの顔を見られたってもう恥ずかしくない。
大きな幸福感に包まれて
4月3日、渋谷タワーレコードの地下ライブハウスにて「黒木渚フルアルバム発売記念イベント」が開かれた。