合同焼香所で、セウォル号沈没事故の犠牲者遺族に詰め寄られる韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(右端)。北朝鮮は事故対応で朴政権を糾弾する世論が韓国で強まると、その尻馬に乗って非難のトーンを上げ始めた=2014年4月29日、韓国・首都ソウル郊外の安山(聯合=共同)【拡大】
【国際情勢分析】
旅客船「セウォル号」沈没をめぐり、北朝鮮が韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権への非難をエスカーレートさせている。バラク・オバマ米大統領(52)も「黒いサル」とまで罵倒し、米韓世論の激しい反発に遭った。度を超した“口撃”の裏には、対北強硬姿勢で連携する米韓に対し、有効な対抗策がないことから来る焦りが透けてみえる。
当初の「弔意」から転換
「南朝鮮(韓国)に『自由』があるとすれば、セウォル号事故でみたように、うら若き学生さえ魚の餌になる自由だけだ」
ラヂオプレス(RP)によると、北朝鮮国営、朝鮮中央放送は5月13日、北朝鮮国防委員会による「重大報道」の中でこう伝えた。韓国国防省報道官が12日、北朝鮮は「早くなくなるべきだ」と発言したことに対抗したものだ。
セウォル号沈没2日後の4月18日に朝鮮中央通信が事故について初めて報じたが、韓国の報道を引用し、「眠れぬ夜を過ごす行方不明者の家族の悲しみや怒りがいかに深いか、当局は肝に銘じなければ」と間接的に非難するのにとどまっていた。